一般皮ふ科とは
- 一般皮ふ科は、保険診療の対象となる皮膚疾患全般が、その範囲となります。具体的には、湿疹、蕁麻疹、アトピー性皮膚炎など皮膚にかゆみのあるものをはじめ、水虫、ヘルペスなど皮膚の感染によるもの、やけどやキズ、皮膚のできもののほか、身近に起こりやすい皮膚の様々な病気やトラブルも含まれます。
- 皮膚の症状でお困りのことがあれば、小さいことでもまずはご相談ください。症状に合わせて適切な治療をおこないます。
- 一般皮ふ科で多い病気とその症状については以下になります。
- アトピー性皮膚炎、にきび・にきび痕、湿疹、水虫、蕁麻疹、うおのめ、ヘルペス、やけど、乾癬、帯状疱疹、巻き爪、脱毛症、皮膚の出来物。
湿疹
~痕を残さないため早めの治療が重要です~
症状
湿疹は皮膚の病気の中で大変多いものです。症状としては皮膚に赤み、ぶつぶつ、かゆみなどがでます。この場合、乾燥、汗、かぶれなど、何かしらの原因があって出ていることも多いです。症状が長引くと治りにくくなり痕も残りやすくなりますので、早めに治療をしましょう。
治療
湿疹の原因がある場合はそれに対しての対策をとります(例:乾燥の場合は保湿をする、かぶれの場合はかぶれの原因を避けるなど)。その上で、皮膚の炎症を抑えるステロイドの塗り薬やかゆみを抑える抗ヒスタミン薬の飲み薬を用います。
水虫
~水虫は、専門医による顕微鏡検査が必要です~
症状
水虫は皮膚にカビが寄生して起こる感染症です。白癬とも言われます。水虫の感染の中で最も多いのは足の水虫(足白癬)、次いで足の爪の水虫(足爪白癬)です。その他、体の白癬、股部の白癬、手の白癬などがあります。水虫の皮膚症状としては赤み、皮膚がぽろぽろとれる、皮膚が分厚くなる、ジュクジュクする、かゆみがあるなど様々な症状があります。爪の症状としては白く濁る、分厚くなるなどの症状が現れます。
治療
症状がある部分の皮膚や爪を少しとって顕微鏡検査をすることで水虫がいるかどうか確認することが必要です。皮膚のみの水虫の場合は抗真菌薬の塗り薬を用います。爪まで水虫が感染している場合は爪専用の塗り薬や内服薬で治療を行います。
蕁麻疹(じんましん)
~医師の判断のもと、症状を抑える内服薬を使用し適切にコントロールしていくことが大切です~
症状
蕁麻疹はかゆみ、赤みの症状が出て数時間で消えるのが特徴です。虫刺されのように膨れたり、顔が腫れぼったくなったりすることもあります。食べ物、薬など原因がはっきりしていることもありますが、原因がはっきりしない蕁麻疹の方が多いです。
治療
蕁麻疹が出る原因となっているものがあれば、それを避けるように対策します。原因を検査することもできます(アレルギーの血液検査、プリックテストなど)。治療薬としては抗ヒスタミン薬の飲み薬を用います。症状に合わせて種類や量を調節します。長期化する場合は抗ヒスタミン薬以外の飲み薬や注射薬を使うこともあります。
うおのめ
~原因となる要因をできる限り除去することが大切です~
症状
うおのめは1ヵ所に持続的に圧迫する力が加わることで皮膚が分厚くなってできます。魚の眼のように見えるため「うおのめ」と言われます。足の裏に多く、分厚くなって硬くなった皮膚がくいこんで歩くたびに痛みが出ることがあります。原因としては足に合わない靴、歩き方の癖、骨のでっぱりなどがあります。
治療
足に負担のない靴に変える、歩くときの体重のかかり方を工夫するなどの対策で改善することがあります。治療としては皮膚を柔らかくする塗り薬・貼り薬を使ったり、分厚くなった皮膚を削る処置を行ったりします。
ヘルペス
~ヘルペスと思ったら少しでも早く治療することをおすすめします~
症状
ヘルペスはヘルペスウイルスの感染や活性化によるもので、唇の周囲にできる口唇ヘルペスや陰部の周囲にできる性器ヘルペスが多いです。小さな水ぶくれが集まって出てきて、ピリピリとした痛みを伴うことも多いです。ヘルペスウイルスは一度感染すると体外へ排出されずに潜伏するようになるので、疲れなどをきっかけにして繰り返すこともあります。
治療
症状の強さに合わせて抗ウイルス薬の塗り薬、飲み薬、点滴を用います。再発を繰り返す場合、症状が出る前の前兆があれば、前兆がある時にすぐに飲み薬を飲む方法もあります。
やけど
~乾燥させやすい消毒やガーゼによる治療ではなく傷を乾かさない湿潤療法(モイストケア)が重要です~
症状
やけどはやけどの深さによって症状が異なります。軽度のやけどであれば皮膚の赤みだけで終わることもありますが、深いやけどの場合は水ぶくれができたり、その後皮膚の潰瘍になったりすることもあります。
治療
赤みだけの場合は、冷やした後にステロイドの塗り薬を用います。軽度のやけどは2週間程度で治ります。水ぶくれ、潰瘍ができた場合は、傷の深さに合わせて塗り薬や貼り薬による治療を行います。治るのに2週間以上かかります。傷口から雑菌が入って2次的に感染が起こると治りが遅くなるため、しっかり傷口を洗って清潔にすることも大切です。消毒をしたり通常のガーゼを当てることは傷を乾かし、綺麗に傷を治すための妨げになると言われています。当院では傷口を早くそして綺麗に治すためできる限りガーゼ以外の創傷被覆材を使用しています。
乾癬
~湿潤環境を保つことを重視し治療を行います~
症状
乾癬は赤みや皮膚がぽろぽろとれる症状が長く続く慢性的な病気です。日本人の発症率は0.3%と言われており、中年の男性に多いです。全身どこにでも現れることがあり、時にかゆみがあります。これは皮膚の細胞の代謝(ターンオーバー)が異常に速くなることで起こります、その原因はまだはっきりしていません。
治療
塗り薬、飲み薬、紫外線治療、注射など、複数の治療法があり、症状の強さに合わせて使い分けます。乾癬は慢性的に続く治りにくい病気と言われています。当院ではステロイド外用剤、ビタミンD3外用剤による外用療法、アプレミラスト内服、シクロスポリン内服による全身療法、ナローバンドUVB療法、ターゲット型エキシマライトによる光線療法など様々な治療方法を用いて症状のコントロールを行っていきます。
帯状疱疹
~早期に適切な治療を行うことで症状を軽くし、後遺症や合併症のリスクを減らすことができます~
症状
一度みずぼうそうにかかると、みずぼうそうの原因ウイルスである水痘・帯状疱疹ウイルスが体の中に住み着くようになります。そして、肉体的・精神的ストレスなどで体の抵抗力が下がった際に一定の神経領域の範囲でそのウイルスが活性化することがあります。それが帯状疱疹です。
症状としては、一定の神経領域の範囲に赤み、水ぶくれができます。神経領域は左右それぞれ帯状に分かれているため、症状が左右どちらか片側に帯状に出ます。また、ウイルスによって神経が傷ついてピリピリとした神経痛が出ることもあり、時に皮膚の症状が治った後も痛みが長引くことがあります(帯状疱疹後神経痛)。
治療
抗ウイルス薬の飲み薬、もしくは点滴を行います。痛みがある場合は痛み止めの飲み薬による治療も同時に使用します。帯状疱疹後神経痛を防ぐためにも早めの治療が大切です。
巻き爪
~爪の切り方が一番大切な予防法となります~
症状
巻き爪とは、爪の両側が内側に巻いてしまった状態です。足の親指に起こりやすく、原因としてはもともとの爪の形によるもの、足に合わない靴によるもの、足の爪の水虫によるものなどがあります。爪の両側が皮膚に刺さって皮膚に傷ができて腫れたり、2次的に感染が起こってしまったりすることもあります。そうなると強い痛みが生じます。
治療
足に合った靴を履く、爪の水虫があればそれを治療するなど、原因に対しては対策をとります。その上で、深爪に注意し少し長めに爪を切るように指導します。痛みがある場合はテーピング法やガター法により痛みの軽減する治療を行います。感染がある場合は抗生剤の飲み薬による治療を行います。
脱毛症
症状
- 脱毛症が起こる病気はたくさんありますが、皮膚科で治療する脱毛症で最も多いのは男性型脱毛症(AGA)、次いで、円形脱毛症です。
- 男性型脱毛症の場合、前頭部から頭頂部にかけて、髪の毛1本1本が細くなってボリュームが減り、次第に髪の毛が生えなくなってくるという症状が多くみられます。成人男性の3人に1人はAGAだと言われています。原因としては、男性ホルモンが活性化することと男性ホルモンに対する感受性が高くなることが関与していると言われています。
- 円形脱毛症の場合、突然抜け毛が始まり円形の脱毛斑ができるのが特徴的です。1個から数個の脱毛斑であれば自然に治ることが多くあります。時に脱毛斑が徐々に増えて髪の毛全体に広がったり、髪の毛以外の体毛まで抜けたりすることもあります。これは、自身の毛包を自身の攻撃してしまう自己免疫反応によると言われており、肉体的・精神的ストレスが引き金になることもありますが、きっかけなく発症することもあります。
治療
- AGAの治療は自費診療がメインになります。初期治療としては男性ホルモンに作用するフィナステリド(プロペシア)、デュタステリド(ザガーロ)の飲み薬や発毛効果のあるミノキシジルの飲み薬、塗り薬を用います。なおプロペシアやサガーロの副作用としては肝機能障害、性欲減退、EDなどが挙げられます。またミノキシジルは、頭痛やめまい、動悸といった副作用がみられ、塗り薬(外用)では頭皮のかぶれ、内服薬はもともと降圧剤として使用されていたものなので、血圧が不安定、心臓に何らかの疾患がある方は注意が必要です。
- 円形脱毛症は症状に合わせて様々な治療法があります。単発から数個の脱毛斑であればステロイドやカルプロニウム塩化物(フロジン)の塗り薬を用いますが、頭部全体に広がる場合はステロイドの飲み薬や点滴(ステロイドパルス)も併用します。また、症状が長引く場合は、液体窒素療法、局所免疫療法(SADBEなど)、紫外線療法、ステロイド局所注射なども用います。
皮膚の出来物
粉瘤(アテローム)
~きれいに治すことを目指します~
症状
粉瘤とは、皮膚の下に皮膚の袋ができた良性のできものです。皮膚の下のできものの中では最も多いです。皮膚の袋であるため袋の中に垢が溜まるため、粉瘤を圧迫すると皮膚表面と通じた孔から臭いのある白っぽい垢が出てきます。時に二次的な感染を起こして赤く腫れることがあります。
治療
良性のできものなので、とくに治療の必要はありません。ただし、徐々に大きくなるため、見た目が気になったり、感染を繰り返したりする場合は、手術でとるという選択肢があります。3cm程までの大きさであれば3~4mmの穴をあけ摘出するくりぬき法を用いることで傷痕を小さくし目立ちにくく治すことを目指します。
感染を起こしている時は抗生剤の飲み薬による治療を行い、膿が溜まっている場合は皮膚表面を少し切って膿を出す処置を行います。
ほくろ
~皮膚科専門医による診療で悪性でない事をしっかり判断し、様々な治療方針を提案します~
症状
ほくろは色素を含む母斑細胞という細胞が集まってできた皮膚のできものです。色素性母斑、または母斑細胞母斑とも言われます。生まれつきあるものは比較的大きいことがありますが、生まれつきではないものは通常7mm程度までの大きさであることが多いです。形や色は様々で、特殊なものとしてはサットン母斑というほくろの周りが白く抜けるものや、青色母斑という青黒い色のほくろなどもあります。
治療
- 良性のできものなので、治療の必要はありませんが、ただ見た目が気になるという場合はレーザー治療や手術による切除を行うことがあります。
- また、時に皮膚がんなどの悪性腫瘍との判別が必要な場合があります。その場合はダーモスコープという拡大鏡でみる検査を行い、それでもはっきりしない場合は皮膚生検(皮膚を一部とって細胞をみる検査)を行うこともあります。
皮膚がん
症状
- 皮膚がんは、皮膚にできた悪性腫瘍です。主なものとしては、基底細胞がん、有棘細胞がん、悪性黒色腫(メラノーマ)、転移性の皮膚がんがあります。また、前がん病変として日光角化症、ボーエン病などがあります。
- 皮膚がんの初期は、ほくろなどの良性のできものと見分けがつかず、症状もないことが多いです。しかし、放置しておくと徐々に進行してしまいます。そのため、ほくろが急に大きくなった、形や色が他のほくろと違う、たびたび出血がある、など何か気になる変化があれば早めに気づいて早めに受診することが大切です。
治療
肉眼やダーモスコープによる検査で皮膚がんが疑われた場合は皮膚生検を行います。皮膚がんと確定したら、治療は手術による切除がメインになります。大学病院や総合病院は皮膚がんの最新治療に携わってきました。当院でもクリニックで可能なものは手術を行います。皮膚がんの種類によっては適切な治療を行うため、連携している総合病院にご紹介致します。