アトピー性皮膚炎
~すべての年代のアトピー性皮膚炎でお困りの人に寄り添い最善の治療を行います~
- かゆみのある皮膚炎(湿疹)が良くなったり悪くなったりを繰り返しながら慢性的に続く病気のことをアトピー性皮膚炎と言います。
- 同疾患の原因のひとつ、生まれつきの皮膚の機能の問題として「皮膚の乾燥」、「皮膚のバリア機能の低下」などがあります。それにより外からの抗原(アレルギーの原因となるもの)や刺激が入りやすくなり「アレルギー反応による炎症」を引き起こします。
- そのため、皮膚炎の症状が一旦落ち着いても、季節の変化、汗、疲れ・ストレス、外からの抗原・刺激などをきっかけに悪化するということが繰り返されます。
- なおアトピー性皮膚炎がある場合、その他のアレルギー性の病気(気管支喘息、アレルギー性鼻炎・結膜炎など)を持っている場合も多いです。
症状
皮膚の症状は新しい湿疹と古い湿疹が混ざって様々な症状が現れます。具体的には以下のような症状です。
- 赤み、かゆみがある
- ぽろぽろ皮膚が落ちる
- ジュクジュクして汁が出る
- 硬くゴワゴワしている など
また、年齢によって出やすい部位が変化します。
乳幼児期:頭、顔の症状が中心で、体、手足に広がることもある。
小児期:首や関節部(膝・肘・わき)に症状が出やすい。
思春期・成人期:上半身(顔、首、胸、背中)に症状が強く出る。
多くの場合、乳幼児期に発症します。小児期には15~20%の子供でみられるありふれた病気ですが、徐々に改善することが多く、成人期には2~10%と減少します。
治療
- アトピー性皮膚炎の症状は皮膚症状やかゆみによる苦痛に加えて、白内障などの眼の合併症、2次的な皮膚の感染症、かゆみによる不眠などが伴い、QOLの低下につながります。そのため、継続的に正しい治療を行って症状が出ないようにしていくことが大切です。
- 主な治療法として、外用薬(塗り薬)、内服薬(飲み薬)、注射の3種類があります。当院では日本皮膚科学会アトピー性皮膚炎診療ガイドラインに基づき、患者様の症状に合わせた最適な治療をおこなっています。
アトピー性皮膚炎の外用薬(塗り薬)
外用薬はアトピー性皮膚炎の治療に欠かせないものです。主に次の4つがあります。
①ステロイド外用薬
昔から使われてきた塗り薬で、皮膚の炎症を抑える効果があります。ステロイド外用薬は強さによって5段階(強い順:ストロンゲスト、ベリーストロング、ストロング、ミディアム/マイルド、ウィーク)のランク分けされており、症状と部位に合わせて使い分けます。
②タクロリムス外用薬
ステロイド外用薬とは違う成分ですが、ステロイド外用薬と同じく皮膚の炎症を抑える効果があります。ステロイド外用薬と組み合わせて使うことで、ステロイド外用薬による副作用を軽減させることができます。塗り始めて2週間程はほてりや刺激感を感じる方もおられますが徐々に軽減され、なくなります。
③デルゴシチニブ外用薬
2020年から使われるようになった新しい外用薬です。タクロリムス外用薬に続くステロイド外用薬以外の選択肢として期待されています。
④保湿剤
アトピー性皮膚炎の症状のベースには皮膚の乾燥があります。そのため、保湿剤を使いながら皮膚の乾燥を防ぐことはとても大切です。保湿をしっかりすることでアトピー性皮膚炎の症状の悪化を予防することができます。保湿剤には様々な種類があり、剤形にも軟膏、クリーム、ローション、化粧水など様々なタイプがあります。使用感と保湿力が異なってきますので、乾燥の症状や部位、好みに合わせて適切な保湿剤を提案させていただきます。当院では塗り方の指導を全ての人にしっかりと丁寧に指導を行います。
ステロイド外用薬の注意点と副作用
- 注意点
- 決められた強さのステロイド外用薬を決められた量で決められた部位にきちんと塗ることが大切です。外用薬の吸収率は体の部位によって異なります。また中途半端な使い方をすると症状が改善することなく悪化させたり、症状を長引かせる原因となる為、必ず医師の指示のもと使い続けることが大切です。
- 副作用
- にきび、皮膚の毛細血管拡張、皮膚の萎縮、多毛などが起こることがあります。ただし、適切な強さのものを適切な期間で使えばこれらの副作用を避けながら高い治療効果を出すことができます。
アトピー性皮膚炎の内服薬(飲み薬)
内服薬には主に次の3つがあります。
①抗ヒスタミン薬、抗アレルギー薬
かゆみを抑える効果があります。皮膚症状を直接改善する作用はありませんが、かゆみを抑えることで掻くことが少なくなるので、皮膚症状の悪化を防ぐことができます。
②ステロイド内服薬
症状が悪化した際に一時的に使用することがあります。炎症を抑える効果は高く、一気に悪化したときの症状を改善させるのに効果的です。ただし、長期的に使うと様々な副作用が出ることがあるため、症状に合わせてステロイド内服薬の量と期間を決めて適切に使用する必要があります。
③シクロスポリン内服薬
免疫抑制薬のひとつで臓器移植などに使われていた薬ですが、アトピー性皮膚炎にも高い効果が認められ、通常の治療で効果が不十分なアトピー性皮膚炎の治療に用いられます。ただし、使用できるのは16歳以上の患者様に限られています。副作用(高血圧、腎機能低下など)が出ることがあるため、定期的に血圧測定や血液検査などで副作用がないかチェックしながら治療します。
アトピー性皮膚炎の注射薬
デュピルマブという注射薬が2018年からアトピー性皮膚炎の治療に使用できるようになりました。デュピルマブは生物学的製剤(生物から産生されるたんぱく質などを応用して作られた薬剤)のひとつであり、アトピー性皮膚炎の湿疹やかゆみの原因になっている体の中の物質(IL-4、IL-3)をブロックする薬剤です。効果は非常に高いですが、治療費が高額であり、使用できる医療機関は限られています。
アトピー性皮膚炎の光線療法
当院では光線療法を積極的に行っております。全身に照射できる全身型のナローバンドUVB治療器(ダブリン7シリーズ)。部分的に高出力で照射できる最新のターゲット型のエキシマライト治療器(フレクシス308モデル100)を導入しています。